『心理療法の精神史』 第二水準要約
はじめに
本書では、心理療法の歴史をできるだけわかりやすく記述し、その本質を取り出すことを試みている
第一部の「心理療法史の全体像」において、古代から現代に至るまでの心の治療の歴史を概観する。古代の呪術的治療、中世の宗教的な治療法の意味を考察し、また心理療法だけでなく、精神医学と臨床心理学の歴史について解説することで、心の治療の歴史全体を 俯瞰 できるように心がけて記述した。
第二部「現代心理療法の多様な展開」においては、二〇世紀以降に登場した各種の心理療法の理論を、それぞれ歴史に沿って解説している。精神分析を中心とする深層心理学的な方法、認知行動療法を中心とする実証科学的な方法、来談者中心療法を中心とする実存主義的な方法、そして家族療法を中心とする関係論的な方法など、背景にある思想、枠組みから分類し、その意義を探ろうと試みた。
第三部「心理療法はどこへ向かうのか?」では、各心理療法の学派間の対立や統合への動きなど、現代の心理療法の動向を総括し、現象学の視点から心理療法の本質を考察した。そして現代社会における心理療法の役割、意味を考えることで、これからの心理療法のゆくえについて考えている。
第2章 精神医学と臨床心理学の歴史
本章では、近代以降における心理的治療の展開の大まかな流れを概観するために、まず精神医学の歴史を振り返り、その後、臨床心理学の展開について、ごく簡単に説明しておきたい
第3章 無意識へのアプローチ──精神分析の歴史
本章と次章では、フロイトに始まる精神分析の歴史を辿りながら、その理論の展開と最新の動向を追うことで、精神分析が登場した意味を考えてみたい
第8章 理論対立から統合へ
本章では、思想や理論の異なった心理療法同士の関係、その違いと共通点を検討しつつ 、心理療法の対立から統合へと向かう展開に迫ってみる
第9章 心理療法とは何か?
ここでは前章の問いを受けて、一体何が心理療法の治療の核心になっているのか、その意味を考えてみる
第 10 章 現代社会と心理療法の未来
本書ではこうした人間理解に基づいて、心理療法の原理とその歴史の本質を考えてきた。